経済指標

日銀短観とは?業況判断DIの見方と2026年9月調査の最新値

公開 2026-10-16 / 情報確認日 2026-10-16 / 文:マネーの解像度 編集部

本記事は制度・操作手順の一般的な解説であり、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。仕様は変更されることがあるため、必ず各社公式ページをご確認ください。

この記事は経済指標の読み方の解説です。特定の金融商品の購入をすすめるものではありません。数値はすべて日本銀行の公式資料から2026年10月16日に確認したものです。

この記事の答え
日銀短観は、日本銀行が四半期ごとに約9,000社超へ行う企業アンケートです。市場が最も見るのは大企業製造業の業況判断DI。「良い」割合から「悪い」割合を引いた%ポイントで、プラスなら「良い」が多い状態です。2026年9月調査(10月1日公表)では大企業製造業の業況判断DIは24(前回22から+2)、先行きは21でした。次回の12月調査は2026年12月14日(概要・要旨)に公表予定です。

日銀短観とは

正式名称は全国企業短期経済観測調査で、通称「短観」(英語ではTankan)です。[1] 全国の企業動向を把握し、金融政策の運営に資することを目的に、日本銀行調査統計局が四半期ごとに実施する統計調査(ビジネス・サーベイ)です。[2]

調査対象は、資本金2千万円以上の民間企業(金融機関・純粋持株会社等を除く)から抽出した約9,000社超です。規模は資本金で大企業(10億円以上)、中堅(1億円以上10億円未満)、中小(2千万円以上1億円未満)に分けられます。[2]

2026年9月調査の全国企業の調査対象は9,104社、回答率は99.4%でした(回答期間:8月26日〜9月30日)。[3]

短観の特徴は、(1) 業況など判断項目(DI)、(2) 売上・利益・設備投資などの計数項目(計画・実績)、(3) 物価見通しをセットで聞いている点です。[2] 集計結果は日銀の景気判断そのものではなく、企業回答の集計である点に注意してください。[2]

業況判断DIの計算

業況判断は、企業が「収益を中心とした全般的な業況」を「良い」「さほど良くない」「悪い」の3択で答えます。[2][4]

業況判断DI(%ポイント)=「良い」の回答社数構成比 − 「悪い」の回答社数構成比

たとえば「良い」30%・「さほど良くない」60%・「悪い」10%なら、DIは20です。[2] プラスなら「良い」が「悪い」を上回り、マイナスならその逆です。ゼロ近辺は楽観・悲観が拮抗しているイメージです。

  • 最近DI:回答時点の状況
  • 先行きDI:3か月後までの見通し

DIは企業規模で重み付けせず、1社1票の単純平均です。[2] 構成比は整数化(四捨五入)してから差し引くため、製造業と非製造業の変化幅を足しても全産業と一致しないことがあります。[2]

見るべきポイント

項目なぜ見るか
大企業・製造業の業況判断DIニュース・市場で最も引用される「顔」の数字
大企業・非製造業の業況判断DI内需・サービス業の温度感
中小企業の業況判断DI景気の裾野。大企業より弱いことが多い
先行きDIと最近DIの差企業が先行きを楽観/慎重にみているか
雇用人員判断・設備判断人手不足や設備の過不足(マイナス=不足寄り)
販売・仕入価格判断、借入金利判断値上げ圧力と金利負担の方向感
設備投資計画・経常利益計画実額の計画。修正パターンに「クセ」あり[2]

あわせて、想定為替レート(事業計画の前提)も参考になります。2026年9月調査では、全規模・全産業の2026年度想定ドル円は154.23円(前回152.57円)でした。[3]

最新値(2026年9月調査・2026年10月1日公表)[3]

業況判断DI(「良い」−「悪い」・%ポイント)

区分2026年6月2026年9月変化先行き(〜12月)
大企業・製造業2224+221
大企業・非製造業3735-230
中堅・製造業1723+618
中堅・非製造業2624-219
中小・製造業914+512
中小・非製造業1515010
全規模・全産業1821+315

大企業製造業は改善(24)した一方、大企業非製造業は小幅悪化(35)。先行きは多くの区分で最近より低く、12月調査時点では慎重な見通しです。[3]

売上高・経常利益・設備投資(年度計画の一例)[3]

項目(全規模・全産業)2025年度2026年度(計画)前回比の修正率
売上高(前年度比)+2.9%+4.1%+1.6%
経常利益(前年度比)+7.1%+2.2%+9.4%
設備投資額・含む土地(前年度比)+9.4%+7.6%+0.8%

大企業製造業の2026年度経常利益計画は前年度比+13.6%(修正率+21.7%)と大きく上方修正されています。[3] 修正率は「前回調査の推計値」との比較であり、前年比の変化と単純には足し引きできません。[2]

設備・雇用・価格・金利の判断(2026年9月)[3]

指標定義のイメージ全規模(または注記)
生産・営業用設備判断DI(製造業)「過剰」−「不足」全規模合計 -4(不足寄り)
雇用人員判断DI(全産業)「過剰」−「不足」全規模合計 -38(人手不足が続く)
販売価格判断DI(製造業)「上昇」−「下落」大企業 40 / 中小 41
仕入価格判断DI(製造業)「上昇」−「下落」大企業 59 / 中小 71
借入金利水準判断DI(全産業)「上昇」−「低下」全規模合計 68(上昇方向が強い)

価格判断や借入金利判断は「水準」ではなく変化の方向を聞いている点に注意してください。[2] 企業の物価全般の見通し(全規模・全産業)は、1年後の前年比が平均2.6%でした。[3] 家計側の物価は消費者物価指数(CPI)で確認できます。

公表カレンダー

公表は原則4月初・7月初・10月初・12月央で、初日に概要・要旨(午前8:50)、翌日に調査全容・時系列(午前8:50)です。[1][5]

調査概要・要旨調査全容・時系列
2026年9月調査(済)2026年10月1日2026年10月2日
2026年12月調査2026年12月14日2026年12月15日
2027年3月調査2027年4月1日2027年4月2日

日程は日本銀行「統計データの公表・掲載予定」(2026年7月〜2027年6月)による。[5] 変更される場合があるため、直前に日銀サイトをご確認ください。

金利・円・株への波及(一般的な経路)

短観が予想より強い短観が予想より弱い
景気・企業収益の安心感 → 株が買われやすい面景気減速懸念 → 株が売られやすい面
金融引き締め観測が強まれば金利↑・円高方向もあり得る緩和期待が強まれば金利↓・円安方向もあり得る
実際は「市場予想との差」と同時に出る設備投資・価格判断で反応が分かれる同様に、弱い業況でも先行き改善なら反応が相殺されることがある

これは教科書的な傾向です。短観は日銀の政策判断材料のひとつですが、単月のDIだけで政策や相場の方向を決め打ちするものではありません。物価側はCPI、海外景気の雇用側は米雇用統計とあわせて見ると整理しやすいです。

個人投資家にとっての意味(NISA・長期投資)

  • 発表直後の値動き:短観公表前後は日本株指数の値動きが大きくなりやすいことがあります。長期・積立・分散の方針なら、発表に合わせた売買タイミング取りは通常必要ありません。
  • 景気と企業収益の「地図」:業況DIや利益計画は、景気の温度感をつかむ材料です。個別銘柄の売買推奨には使いません。
  • 物価・雇用とのセット:値上げ・人手不足は家計と企業の両面に効きます。CPIはこちら、米国の雇用はこちら。
  • NISAの運用面:制度・設定の話はボーナス設定やクレカ積立の締切日の記事へ。

投資には元本割れのリスクがあります。最終的な判断はご自身で行ってください。

出典(2026年10月16日確認)

  1. 日本銀行「短観」統計ページ https://www.boj.or.jp/statistics/tk/index.htm
  2. 日本銀行「『短観』(全国企業短期経済観測調査)のFAQ」 https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/tk/faqtk05.htm
  3. 日本銀行「短観(要旨)(2026年9月)」 https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk2609.htm
  4. 日本銀行「短観で使われている『D.I.』とは何ですか?」 https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/statistics/h13.htm
  5. 日本銀行「統計データの公表・掲載予定」 https://www.boj.or.jp/statistics/outline/tkohyos.xlsx (2026年7月〜2027年6月の公表日程)
  6. 日本銀行「『短観(全国企業短期経済観測調査)』の解説」 https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/tk/extk03.htm